動物病院とトリミングは併設をするメリットとデメリットを解説していきます。
最近ではトリミングサロン併設をしていない動物病院も多く、今までトリミングをしていたのにトリミングサービスを終了する動物病院も増えてきました。
トリミングサロンを併設するメリット
動物病院の顧客になる可能性が上がる
動物病院がトリミングを併設する一番の理由は、トリミングを利用してもらうことで動物病院の利用促進につながるからです。
動物病院の顧客でない場合でもトリミングを通して顧客につながるというケースは少なくありません。
また、トリミングを投じて動物病院のサービス(定期検診、ワクチン接種など)を提案することができる点も非常に魅力的です。
反対に病院を訪れる顧客にトリミングサービスを紹介することで、トリミングの売上が増え、事業全体で収益を増やすチャンスも広がります。
飼い主さんの利便性の向上
犬の飼い主さんにとって、動物病院とトリミングサロンを一度に利用できるのは時間と労力を節約できるため、顧客満足度が向上します。
シニアの飼い主さんの獲得
通常のトリミングサロンでは、年齢制限を理由に断られてしまうケースも少なありません。
そのため、動物病院ではいざという時の対処ができるため、年齢制限を設けずにトリミングをするケースも多く、飼い主さんはトリミングに通うようになり、シニア犬の顧客になるということもあります。
年齢制限が厳しい地域もあるので、動物病院でシニアのトリミングができる点は非常に魅力的な動物病院になるはずです。
動物病院と飼い主さんとの信頼関係の強化
動物病院とトリミングサロンが連携することで、飼い主はペットの健康管理を一貫して行えると感じ、病院への信頼が深まる可能性があります。
トリマーと獣医師のスムーズな連携により、異変や違和感などを発見した場合、獣医師に診察をしてもらうことで病気の早期発見も期待できます。
簡単な健康チェックを兼ねてトリミングに出すということも珍しくありません。
安定した収益源の確保:
トリミングは定期的に通う必要があるので、動物病院の収益を補完する安定した収益源となり得ます。
特に動物病院の閑散期があっても、トリミングサービスが病院の経営を支える役割を果たすことがあります。
トリミングサロンを併設するデメリット
トリミングの設備や内装投資の初期投資と運営コスト
トリミングサロンを開設するには、設備投資や内装工事が必要であり、初期費用がかさみます。
また、トリマーの雇用に関する人件費など、サロンの運営コストも考慮しなければなりません。
深刻なトリマー不足
動物病院に限らず、トリミングサロンも深刻なトリミング不足で常に求人募集をしているということは珍しくありません。
給料などの条件を競合よりも高くすることで応募がありますが、給料を上げるためにはトリミング料金の値上げなどをしなければ、給料を上げることは難しくなります。
また、トリミングは別事業と言えるくらいに違う業務内容なため、獣医師とトリマーとの意思疎通をスムーズにするためには適切なマネジメント力も必要になってきます。
動物看護師に業務内容を伝えることは獣医師の業務の一連の流れに組み込まれていますが、トリミング業務全体を理解することは難しいため、トリマーとの意思疎通をスムーズに取れるマネジメント力が必要になってきます。
トリミング料金の値上げがしにくい場合が多い
老舗の動物病院の場合、トリミングは飼い主さんとの接点を作る営業ツールだという認識が多く、トリミング料金で利益を出すという考えが少ないため、低単価でトリミング料金の設定をしている動物病院は少なくありません。
とりあえずトリミングをして来院に繋がればいいという考えは少しずつ成り立たなくなってきていると感じています。
トリミング業務だけで利益が出るようにしていくことが健全な経営につながります。
そのため、値上げをしていくためにはトリミング全体のサービスのクオリティを上げる必要になるので、オーナーである獣医師の業務内容も必然的に増えてしまいます。
動物病院内のトリミングスペースの問題
トリミングはトリマー1人であればドッグバス1台、トリミングテーブル1台あれば成り立つので、それほど大規模なスペースが必要はありませんが、最低限のスペースを確保できない場合、トリミングのサービスを開始するのが難しいです。
病院のレイアウトや規模によっては、十分なスペースを確保することが難しいため、トリミングができない場合も少なくありません。
トリミングは毛など空気中に舞うため、完全に切り分けられた状態にすることが求められます。
10坪ほどの小規模な動物病院はトリミングのスペースを確保することが難しいかもしれません。
トリマーのマネジメントとトレーニング
トリミングサロンを運営するには、トリマーのスキルと経験が重要です。適切なスタッフを採用し、定期的なトレーニングを行うことで、サービスの質を維持する必要があります。
獣医師はトリミングの技術を教えることができないため、基本的にはすでに1人で仕上げまでできるトリマーを雇用する必要があります。
最近はトリマー不足なため給料などの条件を上げる必要がある点も、トリミングだけで利益を出す上で損益分岐点が上がる傾向があります。
また、雇用していたトリマーが離職した際には、新たにトリマーを採用して、お客様との信頼関係を築いていく必要があります。
離職率が高くなってしまうと、マネジメントも大変になってしまうので、働きやすい環境や待遇を用意して、長期的に働きやすい環境を整えるのが大切です。
トリミングによるリスクと責任の増加
トリミング中の事故やペットのストレスが原因で問題が発生した場合、動物病院全体の評価に影響を与えるリスクがあります。トリミングに関連するトラブルへの対応も必要です。
トリミング事業の業務委託という選択肢
最近は小規模でも大規模でもトリミングは業務委託をしている動物病院内は増えてきました。
トリミング業務は動物病院と切り離して、そこでもともと働いていたスタッフが独立して動物病院内の個人事業主として事業を始めたり、新規でトリマーを業務委託として募集をするケースが多いです。
トリマーにとっては設備投資をほとんどせずに低リスクでトリミングが出る点がメリットですし、動物病院側も利益は減るかもしれませんが、様々なリスクを抑えることができるので、トリミングサービスを提供したい場合には、お互いにメリットがある方法だと思います。
動物病院にトリミングサロンは併設すべきか?
トリミングサロンの併設は、動物病院の競争力を高め、顧客満足度を向上させる強力な手段となります。
しかし、初期投資や運営コスト、スタッフ管理などの課題も伴います。病院の規模や地域の需要、経営戦略を考慮した上で、併設するかどうかを決定するのが良いでしょう。
もし病院が既に多くの顧客を抱え、トリミングサービスへの需要が高い場合、併設するメリットは大きいと言えます。
一方、リソースが限られている場合や、トリミングに精通したスタッフを確保できない場合は、併設を見送るか、業務委託として依頼をする方法が考えられます。

